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2012年12月11日 (火)

25人に1人は良心をもたない(その8)




 
< 良心をもたない人の特徴 >


① 一見、魅力的でカリスマ性がある

② 嘘をついて人をあやつる

③ 空涙を流して同情をひく

④ 追いつめられると逆ギレする

⑤ 自分に対して関心がなく、退屈しやすい

⑥ 刺激を求めて「支配ゲーム」に走る

⑦ 人に依存したがる

⑧ チームプレイがへた

⑨ 近視眼的で世間知らず



 
< ふつうの人には想像できない精神状態 >


 
およそ九六パーセントの人たちにとって、良心の存在はあまりに当たり前で、めったに意識もしない。たいていの場合、良心は反射的に働く。誘惑がきわめて大きい場合はべつとして、私たちは自分に降りかかる道徳的問題をいちいち考えたりしない。今日子どもに昼食代を渡すべきか否か、今日職場の同僚のブリーフケースを盗むべきか否か、今日妻を捨てるべきか否か・・・・などと深刻に自問はしない。私たちにかわって良心が、そのすべての決断を、黙って、自動的に、連続的におこなう。

 というわけで、私たちがいかに想像力を働かせても、良心のない人間の姿を思い浮かべることはむずかしい。そのため当然ながら、だれかが良心を欠いた選択をおこなっても、私たちは事実とかけ離れた見方をしてしまう。あの母親は子どもに昼食代を渡し忘れただけだ。あの人の同僚がブリーフケースをどこかに置き忘れたにちがいない。あの人の奥さんは、きっとひどい人だったのだ。

 あるいは、相手と身近に接していない場合は、反社会的行動にたいして貼りがちなレッテルを貼る。あの人は変人だ、芸術家タイプだ、競争心が激しい、怠け者だ、よくいる悪党だ。

 テレビにときどき登場する、言葉にできないほどの残虐行為をおこなうサイコパスの怪物はべつとして、良心のない人びとはふつうはほとんどめだたない。

 高度な教育を受けていても、サイコパスという言葉の意味を知る人は少ない。自分の知り合いのなかに、それにあてはまる相手がいる可能性が十分にあることを理解している人は、もっと少ない。そしてこの呼び名について知ったあとも、たいていの人が良心が欠けた状態を思い描けない。

 じつのところ、これほど感情移入がむずかしい状態は、ほかに考えにくい。全盲、鬱状態、深刻な認知障害、宝くじに当たったときなどの極端な体験、あるいは精神病までも、私たちは自分に置き換えて想像ができる。だれでも真っ暗闇の中にとり残された経験がある。憂鬱になったこともある。だれもが少なくとも一度や二度は、自分をばかだと思った覚えがある。たいていの人が、宝くじに当たったらどうするか、想像をめぐらせたことがある。そして夢の中では、私たちの思考やイメージが錯乱する。

 だが、自分の行動が社会、友人、家族、子どもたちにおよぼす影響を、完全に無視できる状態とは? いったいどんなふうだろう。

 夢もふくめて、自分の中に、それについて教えてくれる経験は一つもない。近いのは、あまりに肉体的苦痛が強すぎたときに、理性の働きや行動能力が一時的に麻痺する状態かもしれない。だが、苦痛のなかにさえ罪悪感は入りまじる。完全なる罪悪感の欠如は、想像を超えている。

 私たちにとって良心は全能の現場監督であり、私たちの行動にルールをあたえ、ルールを破ったときは感情的な罰をあたえる。私たちが良心を求めたわけではない。良心は皮膚や肺や心臓と同じように、生まれたときからそなわっているものだ。言ってみれば、私たちはそのありがたみも感じていない。そして、自分に良心がない状態は、想像することもできない。

 罪悪感の欠如は、医学的概念としてもじつにとらえにくい。癌、摂食障害、鬱病、あるいはそのほかの。人格障害へたとえば自己愛(ナルシシズム)などともちがって、精神病質には道徳的な側面がつきまとう。サイコパスはかならずと言っていいほど、精神医学の専門家にさえ(あるいは、専門家にはとくに)邪悪で非道な印象をあたえ、彼らの不道徳で恐ろしい感情の動きは、文学の世界で生き生きと描かれている。

 ブリティッシュコロンビア大学の心理学教授ロバート・ヘアは、「精神病質チェックリスト」と呼ばれるものを開発した。このリストは現在、世界の研究者や臨床家に診断基準として受け入れられている。冷静な科学者であるヘアは、自分の患者についてこう書いている。「彼らには専門家もふくめてだれもがだまされ、あやつられ、甘言にのせられ、目をくもらされる。優秀なサイコパスはどんな相手の琴線にもふれることができる・・・・彼らから身を守る最良の方法は、この捕食者の性質を理解することだ」

 そして一九四一年に出された古典的名著『正常さの仮面』の著者、ハーヴェイ・クレックレーは、サイコパスについてつぎのように指摘している。「(彼らにとって)美しさ、醜さ、そして善、悪、愛、恐怖、ユーモアなどはごく表面的にしか意味をもたず、彼らを動かす力にはなりえない」



( 出典:マーサ・スタウト著「良心をもたない人たち」2006年草思社 )


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 聴衆が、全く、反応しておりませんでした。

 ミンス、選挙民の黙殺に、大号泣。




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