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2018年8月14日 (火)

メディアは死んでいた




 
安倍雅美著「メディアは死んでいた、検証・北朝鮮拉致報道」2018年産経新聞出版刊から


 
梶山答弁(同書119〜121頁)


 
国会での質疑を続ける。

 ・・・・(富山の)未遂事件で遺留した物品があったようですが、これについての検討で犯人像は何かでてきませんか。

 《 遺留品についてみますと、ゴム製サルグツワ、手錠、タオル、寝袋などがあるわけでございますが、その使われましたタオルのうちの1本が大阪府下で製造された品物であるということがわかっておりますが、他のものにつきましてはいずれも粗悪品でありまして、製造場所とか販売ルートは不明でございます 》

 ・・・・日本で販売している、日本で製造されている、そういった状況は一切なかった訳ですか。

 《 もちろん手を尽していろいろ調べたわけですが、結果として、製造元とか、販売ルートなどがわからなかったということでございます 》

 ちなみに、ここでは、前述した遺留品の廃棄処分については、一切触れられなかった。その事実が明らかになるのは、ずっと後、97年のことだ。

 続いて原敕晃さんに成りすまして入国した韓国で逮捕された北朝鮮の大物工作員、辛光洙容疑者や共犯の金吉旭元朝鮮人学校校長に触れた後、質問者の橋本敦議員はアベック3組の家族たちの心痛を訴え、質問した。

 ・・・・捜査を預かっていらっしゃる国家公安委員長として、こういう家族の今の苦しみや思いをお聞きになりながらどんな風にお考えでしょうか

 梶山静六国家公安委員長(自治相)は、それまでの質疑をくくるように答えた。

 《 昭和53年以来の一連のアベック不明事犯、恐らくは北朝鮮による拉致の疑いが充分濃厚でございます。解明が大変困難ではございますけれども、事態の重大性に鑑み、今後とも真相究明のために全力を尽していかなければならないと考えておりますし、本人はもちろんでございますが、ご家族の皆さん方に深いご同情を申し上げる次第であります 》

 これを通称「梶山答弁」という。

 拉致について一度も公式に言及していなかった政府、警察が初めて北朝鮮による日本人拉致疑惑の存在を認めた。それまで拉致については、言ってみればゼロ回答だったのだから、一歩踏み込んだというレベルの話ではなかった。

 続いて警視庁の城内康光警備局長が答弁した。

 《 一連の事件につきましては北朝鮮による拉致の疑いが持たれるところでありまして、すでにそういった観点から捜査を行っておるわけでございます。被疑者が国外に逃亡している場合には時効は停止しているということが法律の規定でございます 》



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(同書122〜123頁)


 
88年3月26日の「梶山答弁」に戻る。

 雑誌やオフレコの場ではない。無責任な噂話ではない。国会の予算委員会で政府が北朝鮮の国名をはっきりと挙げて、人権・主権侵害の国家犯罪が「十分濃厚」とし、警視庁が「そういう観点から捜査を行っている」と答える。

 これは尋常なことではない。だれでもトップニュースだと思うだろう。

 しかし、この答弁がテレビニュースに流れることは、ついになかった。

 新聞は産経がわずか29行、日経が12行、それぞれ夕刊の中面などに見落としそうになる小さなベタ(1段)記事を載せただけだった。

 産経の見出しは《 アベックら致事件 北朝鮮の犯行濃厚 》、日経は《「不明の三組男女、北朝鮮等拉致が濃厚」梶山自治相 》。

 両者が加盟する通信社配信の原稿かと思ったが、読み比べると、それぞれ自社記事のようだ。

 朝日、読売、毎日には一行もなかった。

 マスメディアの拉致事件への無関心は、ここに極まった。

 まるで申し合わせでもしたかのように、足並みをそろえて無視したのだった。記事の扱いが小さいとか遅い、というのではない。報じなかったのだ。

 「メディアが死んだ日」という意味合いが、お分りいただけるだろうか。

 関係者によると、あの日、予算委員会の記者席では、いつも通り報道各社の記者たちが何人も傍聴していたそうだが、このときの答弁映像はニュース映像の宝庫であるはずのNHKにも残っていないと聞く。誰も一度も目にしたことがないはずだ。

 歴史的な国会答弁の映像が日本のどこにも存在しない。



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